それは4年前の春だった。IT業界のクライアントからプレゼンテーションの依頼を受けたのは、日本経済新聞のカラー全15段を中心とした「合併」に伴う広告展開。IT企業は「人」が最大の資産であり、広告は2社の社員の融合を図り士気を高めることが大きな狙いだ。彼は社内の企画・クリエイティブチームに声を掛け、ミーティングを行った。議論が白熱する中、チームの一人から「アーティストとコラボレーションしたらどうだろう?」というアイデアが持ち上がる。そこで、世界的なデザイナーの吉岡徳仁氏にオファー。新会社の主旨に賛同いただき、許可を得てプレゼンしたところ、クライアントの高い評価を得ることができた。「吉岡氏には今回の合併を象徴する『作品』の制作をお願いしました。『異なるものの出会いによる新しい価値の創造』というコンセプトで、制作過程も広告で展開しました。」社長と吉岡氏の対談や、社員との座談会は、雑誌「日経ビジネス」にシリーズ広告として掲載。新聞広告に作品は掲載しなかったが、この提案が決め手となり、別ビジュアルで全15段広告を当社に任せていただいた。その後、クライアントは東京都現代美術館で開催された吉岡氏の展覧会に協賛し、社員の家族を対象にしたキッズワークショップも実施した。

吉岡氏とのコラボレーションの仕事が進行する中、同時並行的にスタートしたのが、東北復興支援の一環である「ネーミングライツ」に関連したPR展開である。クライアントがネーミングライツを取得した仙台の施設を通じて活動に取り組むことになり、彼はそのプロモーションの提案を依頼された。「私が提案したのは、仙台と東京の2局をネットワークして提供する復興ラジオ番組です。復興支援としては、現地だけでの取り組みでは不十分で、しっかりと東京のクライアント拠点とつなぐことが必要だと考えました。」J-WAVEの番組『HEART TO HEART』は、作曲家である千住明氏をパーソナリティとして放送され、仙台の施設では千住氏によるコンサートを開催した。そして、この千住氏との出会いをきっかけに写真と音楽を融合させた新しいカレンダーをクライアントと企画。千住氏には新たに楽曲を書き下ろしていただくという奇跡に近い出来事まで起こった。楽曲はワルシャワ・フィルハーモニック・チェンバーオーケストラの演奏によってレコーディングされた。クライアントを伴って彼もポーランドに同行し立ち会っている。こうして録音された楽曲はクライアントのカレンダーを通じて配信された。

「一見華やかに見える仕事も、裏方では調整、調整の連続です。」と彼は苦笑する。そして大きな仕事になるほど、難しい局面は増えていく。「例えば吉岡氏の作品を全国でキャラバンするというプロジェクトでは美術館などにも展示しましたが、調整にかなり苦労しました。また、仙台のコンサートでは招待客の人数調整が難しかったですね。席はしっかり埋まっていなければならないけれど、定員オーバーはNGですし。大きなプロジェクトには多くの人が関わっているので、クライアント側の小さな要望が、たくさんの人を動かすことになります。でもそれを極力叶えるのが私の仕事ですから。」一つのアイデアから生まれ、次々と連鎖し広がっていくコミュニケーション活動の渦。その中心には常に彼の姿があった。

「一見華やかに見える仕事も、裏方では調整、調整の連続です。」と彼は苦笑する。そして大きな仕事になるほど、難しい局面は増えていく。「例えば吉岡氏の作品を全国でキャラバンするというプロジェクトでは美術館などにも展示しましたが、調整にかなり苦労しました。また、仙台のコンサートでは招待客の人数調整が難しかったですね。席はしっかり埋まっていなければならないけれど、定員オーバーはNGですし。大きなプロジェクトには多くの人が関わっているので、クライアント側の小さな要望が、たくさんの人を動かすことになります。でもそれを極力叶えるのが私の仕事ですから。」一つのアイデアから生まれ、次々と連鎖し広がっていくコミュニケーション活動の渦。その中心には常に彼の姿があった。

そんな彼が最近一番嬉しかったことは、クライアント様からいただいたメールだという。内容はこうだ。『あなた自身が評価されたことが、私は一番嬉しい。あなたと当社との関係性があるからこそ今回の実現に繋がったのだと思います。これからも是非一緒にいいものを作りましょう。ワクワクしています。』なぜクライアントとこのような関係を構築できたのか?と尋ねると、彼はこう答えた。「誤解を恐れずに言えば、クライアントに対して自分のできる限りを尽くしたということですね。」その言葉通り、彼はクライアントのためになると思えば、時間を忘れて徹底的に取り組んだ。一緒に動いたチームのメンバーも驚くほど、彼の仕事ぶりは徹底していた。その誠実な姿勢がクライアントの信頼を醸成し、次々と重要プロジェクトを任せていただける関係構築につながったのだ。また、彼はこうも語っている。「営業の神髄は、本質を見極めて提案をすることだと思います。」クライアントとって何が真の課題解決につながるのか、深く考えた上で提案することが重要だという。決して現状に満足しない、彼の目線は既に次のフェーズを見据えていた。